この恋は、きみの嘘からはじまった。
だけど、声は鮮明に届く。
司くん、すごく怒ってる。
初めて聞く怒声にビクビクと肩が揺れる。
私のせいだ。
私が油断してたから。
「ふざけんじゃねーよ!」
こんなに荒い口調で低い声を聞くのは初めて。
私の知らない司くん。
私のせいで怒らせてしまった。
「殴るのはだめだって!!」
杉山くんが必死に止める声も聞こえる。
小野寺くんはなにも言ってないみたいで、声は全く聞こえない。
ゆっくりと顔を上げて瞬きして涙を落とす。
少しだけ見えやすくなった視界に、すごく怒っている司くんとそれを止める杉山くん、なんの抵抗もせずに俯く小野寺くんが映る。
私に気づいたのかゆっくり視線を上げた小野寺くんと目が合った。