この恋は、きみの嘘からはじまった。
司くんだけには嫌われたくない。
謝っても許してもらえないかもしれない。
でも謝るしかできない。
どう償えばいいのかわからない。
泣いたら困らせるってこともわかってるけど、涙が止まらない。
「秋人くん……」
秋人くんに助けを求めるように名前を読んで俯いた。
私のスカートに涙が落ちて色濃くしていく。
秋人くんはなにも言わず、私の肩を軽く押した。
「こっちゃん、離れて」
困ったような声を出す秋人くんに、また涙が零れた。
私はずるいね。
彼氏の友達に助けを求めるだなんて。
拒絶されるのも当たり前だ。
そっと握っていた手の力を緩める。
「……秋人、いいから」
絞り出したような声に引っ張られるように顔を司くんに向ければ、ひどく傷ついた顔をしいた。
暗い影が表情に落ち、王子様みたいな優しい表情の司くんはいなかった。