この恋は、きみの嘘からはじまった。



大好きな笑顔の司くんはいない。




「俺のこと、きらいになったかな……?」




かろうじて明るくしようと口角を上げるも引きつっている。


私は司くんのセリフに驚いて目を見開く。




それは私のセリフなのに。


なんで司くんが苦しそうにしてるの?





「怖がらせてごめん。
彼氏失格だな」




ははっと乾いた笑いが響く。


少しの反響が虚しさを増した。




目を見開いたまま、涙が零れ頬を伝い首筋までくる。


その雫が伝う気持ち悪さなんか気にならないほど、目の前の司くんのことしか考えられない。




彼氏失格?


それは私のほう。




私が彼女失格なのに。




なんで司くんが責任感じたようなセリフや表情をしてるの?





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