この恋は、きみの嘘からはじまった。
「探しに行ってくる」
「あ、俺も行く」
「え!いいよいいよ。
もうすぐ開演だからふたりが準備しといて」
出口に向かって足を向ければ、康二もついてくる。
それを断られるけど、開演前にじっと待っているのも息が詰まる。
「大丈夫。
それに秋人が理由もなく遅れるとかなんかあったんだろうし。
でも、康二は最初から出番だし俺ひとりでいい」
「え、おいっ……」
康二の止める声も聞かずに外に出る。
とりあえずいま来てるところかもしれないし、体育館周りを見てみようと裏から回る。
角を曲がったところで、笑い声が聞こえた。
男女の笑い声が重なっていて、それが誰なのかまだ姿は見えなかったけどすぐにわかる。
わからないはずがない。
いっきに心が冷めていく感覚がする。