この恋は、きみの嘘からはじまった。
信じたくないけど間違えるはずがない。
そう思いながら歩みを進めると、やっぱり思った通りの人物。
涙目になって笑ってる琴乃に、琴乃の体に触れて距離が近い秋人。
……なにやってんの?
なんで琴乃が秋人とふたりきりでいるわけ?
楽しそうに笑ってさ。
そんな無防備な姿、俺以外の前でする意味がわからない。
簡単に触れられてるじゃん。
秋人もなに考えてんの?
「……もうすぐ開演なのに秋人いないからみんなで探してるのに、なにしてんの?」
自分でもすごく冷たい声が出たと思った。
集合時間に遅れる理由が俺の彼女といるからってふざけてる?
怒りが込み上げてくるけど、それをすべて押し込める。
秋人は急いでこの場を離れて、持ち場につくんだと思う。
俺の出番はけっこうあとだから、別に少し遅れるくらいはいい。