この恋は、きみの嘘からはじまった。
劇が終わって盛り上がる中、俺はさっさと制服に着替える。
さっきの態度は良くなかった。
琴乃に言葉を投げかけられても、無理に微笑んでみせることしかできなかった。
傷ついたかもしれない。
不審に思ったかもしれない。
不安になってきたから、すぐにでも琴乃に会いに行きたい。
ちゃんと話そう。
「司も生徒会イベント見る?
じゃあ一緒行こう。
秋人も行くぞ」
俺より先に更衣室とされている部屋から外に出て、体育館の横を通り入り口に向かった。
琴乃はまだ中にいるのかな。
ちゃんと俺の気持ちを話して、嫌な態度をとったこと謝ろう。
「司!早く!!」
前の方で康二が叫んで、俺を呼ぶ。
特に意識することなく康二に目を向ければ、小野寺の肩を掴んだ康二と肩を震わせて涙を流す琴乃が視界に入った。
びっくりした。
目が合うと苦しそうな表情をして、俺から目を逸らすように俯く。
なにかが俺の中で爆発した。
なんとなく状況は把握できて、気がつけば小野寺に掴みかかっていた。