この恋は、きみの嘘からはじまった。
「こっちゃんと一緒にいたこと、怒ってるよね?
ごめん」
頭を下げる秋人。
なにも言わずに続きの言葉を待つ。
「劇が始まるから準備のために体育館へ行こうとしてたら、こっちゃんがあの男と一緒にいたんだ。
男がこっちゃんを抱きしめてて、こっちゃんは泣いてた」
そのときから泣いてたからあんなに目が赤かったんだ。
それを聞いて納得した。
「声をかけたら男がいろいろすごくて話通じなくて、そしたらこっちゃんが『私を連れて逃げて』って。
震えて走れないみたいだったから、俺がおぶって走って逃げた……ってそんな怖い顔で見るのやめて」
「……うん、続けて」
小野寺が琴乃を抱きしめてたのもそうだし、秋人が琴乃をおぶったこととか、けっこうムッとする。
それを抑えて続きを促す。