この恋は、きみの嘘からはじまった。





「こっちゃんと一緒にいたこと、怒ってるよね?
ごめん」




頭を下げる秋人。


なにも言わずに続きの言葉を待つ。





「劇が始まるから準備のために体育館へ行こうとしてたら、こっちゃんがあの男と一緒にいたんだ。
男がこっちゃんを抱きしめてて、こっちゃんは泣いてた」




そのときから泣いてたからあんなに目が赤かったんだ。


それを聞いて納得した。





「声をかけたら男がいろいろすごくて話通じなくて、そしたらこっちゃんが『私を連れて逃げて』って。
震えて走れないみたいだったから、俺がおぶって走って逃げた……ってそんな怖い顔で見るのやめて」


「……うん、続けて」




小野寺が琴乃を抱きしめてたのもそうだし、秋人が琴乃をおぶったこととか、けっこうムッとする。


それを抑えて続きを促す。








< 327 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop