この恋は、きみの嘘からはじまった。
「嫌われたのかと思った」
なんで?
そう聞こうとしても、涙で上手く言葉が出てこない。
両手で顔を抑えて、司くんに体を預ける。
「怖がらせたって思った。
自分でもあんなに怒ったことないから驚いたし」
耳元で司くんの声が聞こえていっぱいになる。
涙を流しながら司くんの腕の温もり、低めの声を感じる。
「俺と別れたくない?」
「んっ……うん……別れたくない」
頑張って声を出して伝える。
別れたくない。
別れるなんて嫌だよ。
「うん、俺も」
その声が耳に届くと、背中に回された手に力が入った。