この恋は、きみの嘘からはじまった。
「琴乃が小野寺にキスされて泣いてるとき、俺はすごいイラついてムカついて小野寺に掴みかかった。
彼氏なら怒るより先に彼女の琴乃のそばに行って抱きしめるべきなのに」
確かにそうだった。
あのとき、私のそばにいて抱きしめてくれたのは司くんじゃなくて秋人くんだった。
でも、私は罪悪感でいっぱいで司くんの顔が見られなかった。
だから私も私だ。
それに、私のことであんなに怒ってくれるのは嬉しいことだと思うから。
「お互い様だよ。
私もだめだったから」
「ううん。違うんだよ。
あのとき、秋人を頼る琴乃にもイラついてた。
けど仕方ないって思った。
俺は頼りにならないから」
「そんなこと……」
ないのに、司くんが私をじっと見ていて否定できなかった。