この恋は、きみの嘘からはじまった。
「そりゃ、俺に話しにくいよな。
正直ムカつくしイライラするし嫉妬する。
琴乃の心が別の男にあったってだけで、おもしろくない」
ムスッとした声を出す司くんは、頭だけでなく体全体を私に預ける。
制服越しに感じる温もりや、司くんの重さに心音が速まる。
「俺のためを思って話さないでくれたんだよな」
「……それもあるけど、自分のためでもあるかな。
司くんに知られたくなかった。
いま、こんなに大好きな司くんへの気持ちを軽く思われたくなかったから」
司くん以外の人もめちゃくちゃ好きになれるって、好きだったんだっていうのを司くんに知られたくなかったんだ。
自分勝手だけど、この気持ちに少しの疑惑も疑問も作りたくない。
「それでもいいよ。
琴乃の全部が欲しいから。
大切な初恋は思い出として持って、俺のそばにずっといたらいい」
司くんの優しさに胸が熱くなる。
やっぱり、いまの私は司くんが大好きで司くんしかありえない。