この恋は、きみの嘘からはじまった。
「言っとくけど、俺の初恋は琴乃だよ」
「えっ……」
「特定の女の子に特別な感情を抱いたことなんてなかった。
俺の初恋は琴乃で、初めて好きになったから秋人が言ってた気持ちもわからなくはない」
初恋は特別。
じゃあ、司くんにとっていまは特別?
「俺の初恋は楽しかった思い出にさせない。
現在進行形で続けるから。
この先もきっと、俺は初恋しか知らないよ」
涙がじわっと浮かんでくる。
司くんを見れば、私から離れて少し照れたように微笑んでくれた。
「……ぎゅってして、いいですか?」
「いいですよ」
私に体を向けた司くんは、両手を広げて待ってくれる。
心の奥底から愛しい気持ちが湧きあがって、勢いよく司くんに抱きつく。