この恋は、きみの嘘からはじまった。
それから手を離されて、目にかかった髪を自分で避けてから目を開けると、司くんが優しい表情で私を見ていた。
きゅんと胸が音を立てる。
「も、もう……髪ぐちゃぐちゃになったじゃん」
「ごめん、つい」
そう言ってから司くんは私の髪を整えてくれて、再び目を合わせる。
「よし、帰ろう」
「うん」
そうしてやっと歩き出した。
なんだか司くんといるのが、すれ違って以来すごく大切に思える。
ただそばにいるだけで幸せ。
一度、離れないとわからないことだ。
あのときはつらかったけど、その時間があったからこそ、もっと絆は深まった気がする。