この恋は、きみの嘘からはじまった。




小野寺くんを見ると、唇を噛みしめていていまにも泣き出しそうだった。


私も泣きそうになって、同じように唇を噛みしめた。





この胸の痛みも忘れない。


忘れることなんてできない。







「すごく大好きだったよ。
私に初めての恋を教えてくれてありがとう」



頑張って出した声は震えた。


視界が歪む。




無理やり終わらせた恋がいま、正しい形で終止符を打たれる。








「僕は好きだよ。
いまも好き。
でも、もう交わることはないんだね」




小野寺くんの声も震えてた。


歪む視界で、小野寺くんが揺れて映る。







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