この恋は、きみの嘘からはじまった。
「ほら、もう行きなよ。
彼氏が心配してる」
そう言われて司くんがいるほうに目をやると、こちらの様子を窺っているようにチラチラと見ている。
私たちのほうに足を向けて少し歩いては下がったり。
そんな姿を見ると、自然に笑みが零れた。
「琴乃が選ぶ相手だから、いいやつなんだよね」
「すごく優しくてかっこいいよ」
「そっか。
じゃあ僕は?」
「小野寺くんも素敵な人だよ。
初恋の人だから」
「うん、それだけで充分だ。
ありがとう。
じゃあ、もう行って。
……って言う前に迎えが来たね」
「え?」
小野寺くんの視線を辿ると、すぐ後ろまで司くんが来ていた。