この恋は、きみの嘘からはじまった。
「桃瀬ちゃん、かわいいね」
「あ、あの……」
「……お前ら何してんの」
「おかえり」
「おかえりじゃない。桃瀬さんに何してんの」
用事が終わったみたいで教室に入って来た如月くんを見上げる。
突然現れて心の準備ができていなかったため、ドキドキと心臓がうるさく鳴り出す。
と、如月くんの手が伸びてきて佐々木くんの手首を掴んだ。
そのせいで私の頭から佐々木くんの重みがなくなる。
「話してただけ」
「じゃあこの手は?」
「かわいくてつい、ね」