この恋は、きみの嘘からはじまった。
一度目線を外すけど、強い視線を感じてゆっくりと戻す。
戻した視線の先には不服そうな司くんの表情。
さっきの満面の笑顔はどこへやら。
「いま、なんて?」
「えーっと……」
「琴乃自身のこと言ったのかな?」
「いや、さすがにそれは……」
「じゃあ、だれ?」
どう答えるのが正解なのかわからない。
とにかくやってしまった。
「俺、じゃないよね?」
「…………」
「無言は肯定かな?」
「…………」
「かわいいって言葉は琴乃のためにあるんだよ?」