この恋は、きみの嘘からはじまった。
無性に抱きつきたくなって、勢いよくぎゅっと抱きつく。
「どうしたの?」
「司くんにぎゅーってしたくなった」
「ほら、こうゆうとこがかわいすぎるんだよ」
自分では自分のことかわいいなんて思ったことない。
でも、司くんが何度もそう言ってくれるから、私はかわいくなりたいって思う。
司くんの前だと、女の子になれる。
「俺、琴乃のことこれからも大切にするから。
ほかの男にこの場所は渡さない」
包み込んでくれるように抱きしめ返してくれるから、その温もりに心が締め付けられるくらいきゅんとして息が苦しい。
愛しすぎても、こんなふうに胸が苦しくなるんだ。
でも、いやな苦しさじゃなくてそれが心地良く感じる。