この恋は、きみの嘘からはじまった。





「言ってくれないと、このままキスするよ」



それは無理。

恥ずかしい。



司くんの手首に自分の手を置いてそっと頬から外して話し始める。




「……私、欲張りで……司くんを独り占めしたくて」


「それ前にも言ってくれてたじゃん」


「違くて!
そのときの比じゃないくらい欲張りになって、独占欲が強くなって……」




俯きがちになっていく。


こんな私知らない。



司くんといると、どんどん知らない自分が現れる。


引き出される。




良い部分も、悪い部分も。







「……いま、司くんの笑顔も優しさも、私だけに向けられてほしいって思っちゃった……」




醜い部分を見せるのは恥ずかしい。


勇気がいるよ。



引かれるんじゃないかって、怖い。







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