この恋は、きみの嘘からはじまった。
佐々木くんが私を見るとパチってウインクされた。
びっくりして目を丸くする私の腕を如月くんが掴んだ。
「帰ろ」
「え、でも……」
「いいから」
如月くんの友達を置いてっていいのかな?
その疑問を口に出す前に、如月くんは掴んだ手を引っ張った。
勢いよく立ち上がらせられ、よろめく私の肩を抱いて支える。
机の上に置いていた私のカバンを如月くんが持ち、ドアに向かって歩き出した。
その間も終始ドキドキしっぱなし。
だけど、2人はいいのか本当に心配になり振り返る。
「司、桃瀬ちゃん。また明日」
「ばいばーい」
佐々木くんと杉山くんが手を振って声をかけてくれた。
でも如月くんは見向きもしない。