この恋は、きみの嘘からはじまった。
思えば奈々ちゃんの恋愛って聞いたことがないんだよね。
美人だし大人っぽいからきっと恋愛経験豊富なんだろうなって思うけど。
いままで私の話ばかり聞いてもらってたから、今度は奈々ちゃんの話を聞いてみたい。
頭の中は奈々ちゃんの恋愛の想像。
年上好きかな?
でも、面倒見良いから年下も合いそう。
そんな想像を膨らませていると今日最後の授業が終わった。
ロッカーに教科書をしまいに行くと、司くんとバッタリ。
「あのさ、このあと委員会があって遅くなるけど、一緒に帰りたいから待っててくれない?」
司くんを見上げると、そんなセリフ。
嬉しすぎてにやけてしまいそう。
「わかった。
教室で待ってるね」
「ありがと。
終ったらすぐに行くから」
「うん!」
大きく頷くと司くんは周りをキョロキョロと見回して、頬にちゅっと軽く口づけた。
びっくりして頬を押さえると、いたずらっ子みたいに無邪気な顔して私に背を向けて歩き出した。