この恋は、きみの嘘からはじまった。
「桃瀬ちゃんといるときとまったく違うよ!
冷たいというか雑というか」
「それは康二に対してみんなだと思う」
「ひど!!」
「そこはなんとなくわかるわ」
「小川さんまで!」
奈々ちゃんはもう杉山くんに心を許したのか、口調は変わっていないけど声のトーンが少し柔らかくなっている。
仲良くなれそうで良かった。
「んー、俺らに対しては基本興味なさげで、こっちゃんが関わるとすごいな」
「すごい?」
奈々ちゃんの疑問に私も頷く。
どうゆう意味だろう?
「こっちゃんが来るから俺らを追い払ったと思ったら、廊下でバッタリ会うのが嫌だからって追いかけて来たり」
「あったなー、そんなこと」
「過保護の域を超えてるよな。
束縛っぽいけど、それもなんかしっくりこないし」
「待って、笑う」
奈々ちゃんはお腹を抱えて笑いだす。
私は記憶を遡って、もしかしてって思う節があるようなないような。