この恋は、きみの嘘からはじまった。




秋人くんを無意識に見つめていると、私の視線に気づいてこちらを向いた。


見すぎた。



恥ずかしい。





「なにか、ついてる?」


「え?」


「すごく見られてる気がしたから……」




やっぱり気づかれてた。




「あ、ご、ごめん!
つい見惚れちゃったってゆうか……」


「え」


「あ、あの秋人くんの表情がすごく優しくて、もしかして前に言ってた初恋の子のことを考えて……」


「こ、こっちゃん」


「気を悪くしたらごめ……わっ!」






変に思われたくなくて、秋人くんに言い訳めいた弁解をしていると急に視界が白に染まる。


後頭部に回る力強い手に甘めの爽やかな香りが鼻腔をくすぐる。

少し息が切れている乱れた呼吸とシャツ越しに聞こえる心音に動機が激しくなる。






「だめだよ。
俺以外に見惚れないで」






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