この恋は、きみの嘘からはじまった。
だって、奈々ちゃんといるときも私は司くんばっかりだもん。
司くんの話をいっぱいしちゃうし、かわいく見られるために奈々ちゃんに服やメイクを伝授してもらってばかり。
女の子の裏の努力は、男の子には秘密だよ。
「司くんだって、いつも優しい口調なのに秋人くんたちといると変わるよね」
「あー、秋人たちだからってわけじゃなくて、琴乃には優しくしたいから無意識に使わないのかも」
そうだったんだ。
まさかの逆なんだね。
「無理してない?
別に綺麗な言葉遣いとか気にしないよ!」
「琴乃はそっちのほうが好み?」
「んー、司くんならどっちも好み!」
「もう、かわいすぎるからほんと。
アイス奢ってあげるね」
「急にどうしたの?
でも、食べたい」
「よし、行こう」
私も司くんの良いところやかっこいいところ、甘々なところや私への優しさ。
ふたりきりのときの表情すべて、私だけの秘密にするね。
特別だから。