この恋は、きみの嘘からはじまった。
「司くん、私の買い物に付き添ってくれてありがとう」
「いいよいいよ。
俺も欲しいの買えたし」
琴乃は本を、俺は好きなバンドのアルバムを買った。
そのまま適当に歩いているところ。
買った本を大切そうに胸に抱える琴乃がかわいくてたまらない。
いいなぁ、本になりたい。
そう一瞬でも本気で思った俺は相当重症なんだろう。
放課後デートってだけでテンションが上がっている。
とにかく琴乃がいたらなんでもいいんだ。
「ほかにどっか行きたいとこ……」
俺の言葉は突然降ってきた雨によって止まる。
「雨だね」
手のひらを上に向けて、雨を感じる琴乃。
だけどそんなのんきに言ってる暇はないほど、いっきに降り始めた。