この恋は、きみの嘘からはじまった。




そのまま俺に手を伸ばし、タオルで髪の水分を吸収していく。





「待って」


「あ、これ使ってないから大丈夫なはずだけど、いやだ?」


「そうじゃなくて」




むしろ嬉しいよ。


琴乃と同じ香りがするから。



タオルだけで幸せになれる。


けど、それより。





「自分を拭きなよ」




肩、透けてるから。


髪も濡れてるし。




あ、ほら。
前髪から水滴が落ちた。






「私よりも司くんだよ」


「俺はいいから」


「でも、このままじゃ風邪引くよ」


「それは琴乃も同じでしょ」







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