この恋は、きみの嘘からはじまった。
琴乃のことになると、俺は譲れないから。
風邪引かれたら困る。
その透けた肌も、他の人に見られたくない。
俺よりも自分を大切にしてほしい。
「私は大丈夫だから、ね?」
そんな上目使いでかわいく言ってもだめ。
俺は頭にかけられた琴乃のタオルをとって、琴乃の肩に広げてかける。
「司くん!」
「俺こそ大丈夫。
お願いだから、こうしといて?」
「でも……」
「ほんとはいますぐシャワー浴びてあったまったほうが……あ」
そこで思いついた。
ちょっと利用してるみたいだけど。
「俺ん家、来る?」
雨を理由に琴乃を家に連れ込もうなんて。