この恋は、きみの嘘からはじまった。
「え……」
琴乃の小さな声。
心底驚いたというように、目をまんまるにする。
そのとき車が横を通り、水が跳ねる。
琴乃にかからないように俺が盾になったら、もろにかぶってまた濡れた。
「……ここから5分かからないんだけど」
「…………」
「……良かったらシャワー使って」
「…………」
琴乃の沈黙が怖い。
反応してくれないのが不安で、ドキドキしながらも琴乃の顔を覗き込む。
「琴乃……?」
覗き込んだ琴乃の顔は、いままで見た中でも上位に入るくらい真っ赤だった。
俺と目が合うとさっと逸らされる。
もしかして、照れてる……?