この恋は、きみの嘘からはじまった。





「初めて彼女連れて来たと思ったらリビングでなにしとんじゃ!!」


「離せって」


「口答えすんのか!?あぁ?」


「彼女が困るから、とりあえず落ち着け」




困惑した様子の琴乃に視線を向けると、姉の菫(すみれ)がやっと手を離してくれた。


そして、琴乃に手を貸して体を起こすのを手伝う。





琴乃は見られたことへの恥ずかしさでいっぱいみたいで、顔を耳まで真っ赤にして目を泳がせていた。





「あなた司の彼女?」


「は、はい……」


「まぁかわいい。
名前は?」


「桃瀬琴乃、です」


「琴乃ちゃん。
いいわね、名前までかわいい」




今度は母さんがやって来る。


いつもは帰り遅いくせに、なんで今日に限って早いんだよ。







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