この恋は、きみの嘘からはじまった。
母さんの言葉に菫はしぶしぶ納得する。
こんな状態で琴乃が話せないだろ。
俺も心の準備なかったし、さすがに気まずいと思うから。
制服が乾いていたから琴乃はそれに着替えて、良いって言ってるのに俺のスウェットを洗って返すって聞かなかったからスウェットを渡した。
母さんと菫に見送られ外に出る。
すでに雨は上がっていて少し太陽も雲間から覗いていた。
「さっきはごめん。
気まずかったよな」
「うん……。
でも司くんの家族に会えて嬉しかった。
しかも初めて連れて来た彼女って……」
「うん。初めて連れて来た。
ほかの女は誰も入れたことない」
めんどくさいだけだし、家を知られたくないし。
だから家に来てほしいって思ったのは琴乃が初めてで、入れたのも琴乃が初めて。
「すごく嬉しい。
もっと司くんに近づけた気がする」