この恋は、きみの嘘からはじまった。




告白を盗み見るなんて最低だよね。


ごめんなさい。




心の中で謝って、奈々ちゃんの服をぎゅっと握る。





「琴乃」



司くんに名前を呼ばれて、奈々ちゃんの後ろから少しだけ顔を覗かせた。





「じゃ、琴乃またね」


「え?」


「こっちゃん頑張って」


「俺は見る」


「お前も行くの」





奈々ちゃんに無理やり手を離されて、秋人くんは杉山くんを引っ張ってふたりきになる。



司くんと正面から向き合っている状態。






「あ、あの……」


「ごめんね。
呼び出されてそれでふたりきりになった」


「いや、私こそ盗み見てごめんなさい」




司くんが謝ることなんてない。


私のほうがひどいことしたよね。



あの女の子にとっても。



もう二度としません。





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