この恋は、きみの嘘からはじまった。
秋人の言葉に分かりやすく目を輝かせた康二は、すぐに正面を向き向こうのコートの中心にいる人を凝視する。
その康二の反応が気になり、俺もその桃瀬琴乃という人物を探す。
「あ、あの子……」
「めずらしく興味あんの?」
「いや、一度だけ話したことがある」
「まじで!?うらやましい!!」
康二が急に大きな声を出したから耳がキーンとする。
少し顔を歪めてから、桃瀬さんが友達の肩を借りて体育館を出て行くのを見届けた。