この恋は、きみの嘘からはじまった。
「琴乃、今日も一緒に帰るの?」
「その予定だよ」
「ほぼ毎日一緒じゃん。仲良いわね」
「えへへ……」
奈々ちゃんの言葉に曖昧に笑う。
如月くんとは付き合い始めてからできるだけ一緒にいる。
休みの日とかは遊んだことないけど、それでも十分すぎるほど2人の時間は多い。
それでも距離が縮まった気がしないのは、如月くんが私のことを好きじゃないって知っているから。
どこか壁を感じてしまうから。
好きな人のそばにいられるのに切なく感じるなんて、贅沢すぎるよね。
だから私は今も気付かないふりをして如月くんの隣にいる。