この恋は、きみの嘘からはじまった。
「俺だって緊張して汗かくけど、桃瀬さんと手繋いでたい。
だからこのままで。だめかな?」
如月くんってずるいね。
私のことなんて、好きじゃないくせに。
なんでそんな真っ直ぐな瞳を私に向けるの?
「……だめじゃない。このままで」
私の言葉を聞くと嬉しそうに頬を緩めた。
ほんと、ずるい。
その笑顔は作られたものなのに、胸の高鳴りを抑えられない。
微笑み返すと握った手の力を強められた。
この時間が、続けばいいのにな。
ずっとずっと、このままで。