この恋は、きみの嘘からはじまった。
だけど、如月くんは秋人くんをじっと見ていて何も言わない。
「如月くん……?」
「あ、ごめん。ありがとう」
傘を受け取り自分で持つと、私に向かって優しい笑顔を浮かべる。
さっきは秋人くんを睨んでいたみたいだったけど、仲良いふたりだから気のせいかな?
「息切らしてどうした?」
「……桃瀬さんは俺の彼女なんだけど」
「知ってる」
「気安く触んないでほしい」
私の手を握って如月くんは驚くべき言葉を発した。
嫉妬みたいな、独占欲みたいな。
私が秋人くんと話して、髪を触られてたから走って来てくれたみたいな。