この恋は、きみの嘘からはじまった。
幸せすぎてどうにかなっちゃいそうだ……。
「帰ろ」
もう本当に幸せでこのまま時が止まればいいのに。
と、本気でそんなことを思ってしまった。
如月くんの言葉に頷いて昇降口に向かって歩き出す。
朝より雨が強くなっていて、外に近づくにつれて雨音が大きくなる。
「……あれ?」
「どうかした?」
「傘が……ない、みたい」
「え?あのピンクの柄のビニール傘?」
「うん……」
如月くんは私の隣に来て、傘立てを見る。
私の傘の特徴を把握していたことに驚きつつ、一緒に探す。