この恋は、きみの嘘からはじまった。




「朝ここに置いてたよね。
確か右からふたつめのとこ」


「う、うん……」




まさかそんなところまで見てたなんて。


私はいつも傘を奥の右からふたつめのところに置く癖がある。



如月くんって周りをよく見てるんだなぁ。





「盗られちゃったかな?」


「だよね……どうしよう……?」


「雨止みそうにないし、俺のに入って行きなよ」


「え……」




傘を差しながらそんな提案をして、私を振り返った。



驚く間もなく手招きをされるから、私は引き寄せられるように自然と足が動く。




だけど隣に行ってすぐに恥ずかしさが込み上げてきて一歩後ずさる。






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