この恋は、きみの嘘からはじまった。




「でも、桃瀬さんがくっついてくれないと俺が濡れちゃうんだよなぁ」



私をちらっと見ては目をそらし、また見る如月くんは確信犯だと思う。


本当にずるい人だ。

そして、甘すぎる。



俯いて如月くんにくっつくと、小さく吹き出す声が頭上で聞こえた。





「桃瀬さんっておもしろいね」


「如月くんはいじわるだね」


「かわい」





私の頭に手をぽんと置く。


見上げると優しい表情をしていて、いままでで1番大きく心臓が跳ねた。


真っ直ぐな瞳に見つめられ息が苦しい。






< 82 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop