この恋は、きみの嘘からはじまった。
「桃瀬さん……」
回した肩を強く前に引き寄せられ、それと同時に如月くんの顔が近づいたと思ったら唇に温かくて柔らかいものが当たった。
それはすぐに離れて、目を大きく見開いてから指で唇にそっと触れる。
いま、キス……。
初めてしたキスは突然すぎてうまく頭が回らない。
如月くんに回された手が私の頬を撫でる。
「ごめん、かわいすぎて……いや、だった?」
「い、いやじゃない!……けど」
「けど?」
「初めて……で、どんな顔したらいいのかわかんない……」
「っ……桃瀬さ」
「雨って最悪。髪めっちゃ跳ねてる」
「女の敵だよね」