死んだ彼女からの手紙

「あ、タクシー来ましたよ」





「ちょっと待って！」





急に彼女が慌てだした。何やらバックの中の何かを探しているようだ。





十分は経っただろうか。久実さんは未だに探し続けている。するとタクシーの運転手が…。





「兄ちゃん、どうすんだい？」





「すいません。もういいです」





これ以上待たせておくのも悪いので、久実さんが落ち着いてからまたタクシーを拾う事にした。






「久実さん、見つかりました？」





「……ない」





「何を無くしたんです？」





「家のカギだよ。どうしよう…」






予想通り。しかしこれからどうするか…。





「どうします？何なら俺の家に来ます？」





「ううん。秀くんのお家は家族がいるでしょ？駄目だよ」






確かに変な誤解をかけるのは嫌だが…。





「でも…」






「ホテル」






「えぇ？！」






久実さんがポツリと言った言葉に耳を疑った。





「ホテルに行かない？」






「ホテルって…」




「別に変な事するわけじゃないでしょ？なら大丈夫だよ〜」