【完】麗人、月の姫
「美麗。ご飯が出来るまでちょっと待ってね」
「分かった」
結局、紗綾に行けないってこと伝えてない。
きっと今日みたいに言ったら分かってくれたかもしれないのに…………。
「今日はね、美麗の好きなシチューにしましょうね」
台所ではエプロン姿のお母さんが、嬉しそうに料理をしている。
今ここで約束を破って出ていってしまったら、怒られるよね……。
「部屋に戻るの?」
「うん………宿題終わらせようかなって」
……………でも、紗綾と見に行きたい。
少し抜け出すぐらいなら料理をしているお母さんにバレないし、もし直ぐに見れなかったら紗綾に事情を説明して帰ればいい。
月の状態を見て決めよう。
______ガチャ…………。
静かに外へ出る。
月はかけ始めていた。
これならもしかしたら、紗綾と見れるかも!
そう思った私は待ち合わせの場所まで走って向かった。