【完】麗人、月の姫
world.2

月の国







_______
____


『姫、元気でな』


『嫌じゃ………………っ!そなたを見捨て私だけ生き延びるなんて事は出来ない……』


『……………ダメだ。行け!!!』

私の体が光に包まれながら消えていく。


『_____…………っ!!!!』


叫んでも私の声は彼には届かない。


貴方は_______…………………。

 

 ✽



「………………っ!!!」


「勢い良く起きられましたね」

私の部屋ではない、少し古風な感じ。

私の隣にいたのは、優しくこちらに微笑む艷やかで綺麗な女の人。


「ここは…………?」

「月の城です」

月の城……?


城とは言いがたいようなボロい畳。

障子も何だか古びている。

「『ここが?』とでも言いたそうな顔ね(笑)」

「あ……………すいません……」

「ふふっ。貴女は正直ね(笑)いいのよ、月人の姫が消えてからはかつての力も失われ、今では廃墟のようになってしまったけど、本来は美しの」

「そうなんですか…………」

そっか。 

私、月の国に来たんだ……。

昨日の地獄とかした世界がふと脳裏に浮かぶ。

友達と親の死。

非現実な力。

恐ろしい黒い人……………………。

思い出すだけで、体が震える。


「やはり……傷は深いようですね。ゆっくりここで癒せばいいわ。取りあえず蓮さん達に知らせてきますね」

女の人はそう言うと部屋から出ていった。


その人が身につけていた服は、何だか平安時代の十二単のように見える。


あの蓮とか幸斗とか言う人もおかしな服装をしていたな………。


< 23 / 86 >

この作品をシェア

pagetop