【完】麗人、月の姫
world.2
月の国
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『姫、元気でな』
『嫌じゃ………………っ!そなたを見捨て私だけ生き延びるなんて事は出来ない……』
『……………ダメだ。行け!!!』
私の体が光に包まれながら消えていく。
『_____…………っ!!!!』
叫んでも私の声は彼には届かない。
貴方は_______…………………。
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「………………っ!!!」
「勢い良く起きられましたね」
私の部屋ではない、少し古風な感じ。
私の隣にいたのは、優しくこちらに微笑む艷やかで綺麗な女の人。
「ここは…………?」
「月の城です」
月の城……?
城とは言いがたいようなボロい畳。
障子も何だか古びている。
「『ここが?』とでも言いたそうな顔ね(笑)」
「あ……………すいません……」
「ふふっ。貴女は正直ね(笑)いいのよ、月人の姫が消えてからはかつての力も失われ、今では廃墟のようになってしまったけど、本来は美しの」
「そうなんですか…………」
そっか。
私、月の国に来たんだ……。
昨日の地獄とかした世界がふと脳裏に浮かぶ。
友達と親の死。
非現実な力。
恐ろしい黒い人……………………。
思い出すだけで、体が震える。
「やはり……傷は深いようですね。ゆっくりここで癒せばいいわ。取りあえず蓮さん達に知らせてきますね」
女の人はそう言うと部屋から出ていった。
その人が身につけていた服は、何だか平安時代の十二単のように見える。
あの蓮とか幸斗とか言う人もおかしな服装をしていたな………。