【完】麗人、月の姫
「さぁ、教えねぇとな。長くなるが順に説明していく」
「分かった」
「ここは月の光を好むやつらが暮らす麗人の国。ここで暮らす奴らは月人と呼ばれている。俺らもそうだがこの国の奴らは、月の光を源に生活をしている」
月人……………。
「ちなみに、麗人は神の血を引いている。つまり、神の親類であり、神そのものだ」
「日本神話でいうツキヨミノミコトみたいな?」
「そうだな。人間は発想が豊かだから、勝手な想像で神を作ろうとする」
へぇ………………。
「俺らは代々月の麗人貴族に使える使者だ。神の類……………………ではないが、力を与えられた護衛人と思っていればいいだろう」
「月路くんも………?」
「…………あぁ。最初に言っただろ?視察するためだって。人間とじゃれ合うつもりなんて…………なかった。『はずなのに……』」
最後の言葉は小さくて聞き取れなかった。
「それで簡単に言えば、今のお前は微量だが神の力をもつ月人で、代々護り続けてきた主、麗人の姫だ」
……………………はい?
「えっとぉ……………」
「なんだ?」
「そもそも麗人とは何ですか?」
「そこからか………」
連さんは呆れたように深くため息をついた。