【完】麗人、月の姫



「次に麗人と陰人の戦いについての歴史だ。書記には『ある日、陰人が我ら麗人の国へ武力を送り込んできた。いきなりの事で、我らも対策できずに敗北に及んだ』と書かれている通り、麗人はかつて陰人に負けている。そのとき麗人の姫、麗咲(れいさ)は仲間により命からがら逃げ切り、身を潜め続けた」


「それが私のご先祖様……?」

「あぁ。15歳になると月人の覚醒は始まり、力の開放と共に制御も出来るようになる。しかし、例え気をつけていても微量の力は隠せないものだ。それでも今までバレなかったということは、スゴく細心の注意を払っていたのだろう」

そういえばお母さん、満月の夜はもちろんの事、夜は必ず外に出ない。


たまに出てくれる程度で、自分から進んで出ることはしなかった。


それは相手にバレないように気をつけていたからだったのかも………………。


「お前にも修行をこれから積んでもらう。まずは力の制御から。力を隠せなきゃ意味がないからな。それに、せっかく姫を見つけ出したのに奪われたらたまらん」



「そういえば、なんで今ごろ探し始めたの?」

危険が迫ってるって分かってたら直ぐ探せたのでは?

「そりゃあ、陰人のやつらが再び動き始めたからだ。いっときはこちら側も身を潜めていたが、陰人のやつらがこの土地では生きれないことが分かり、再び生活を始めることが出来た。俺らが生活をしているうち奴らはこの月を闇に変えてしまおうと企てているのを知り、俺らは姫を探し始めたが気配を消すのが上手くてな……………探すのに5年かかってしまったと言うわけだ」


それほどお婆ちゃんやお母さん達は凄かったんだ………。


私が平和に暮らせていたのも、そのおかげなんだね。



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