【完】麗人、月の姫
修行始めます!
_____闇に満ちた、暗い国。
そこは麗人とは反対に存在する光の当たらない陰人の王国だった。
ここでは黒いマントの着用は義務化されていないが、外に出るときは必ず着用するようにと教えられている。
それは影で過ごしてきた陰人が、いきなりの光に体が耐えられず灰になってしまうため、着用せざる得なかった。
「最後の生き残りの麗人はどうした?」
洋風な立派なお城の中は、最年少と呼ばれる陰人の王様がいる。
「申し訳ございません……っ!逃がしてしまいました。1人は始末したようですが、あと1人いたそうで…………」
「何だと!!?1人逃がしたのか!!!!」
「___ひっ!も、申し訳ございませんっ!」
見た目は10歳の子供だが、立派な陰人の王の血を引く者ということもあり、迫力と威厳は子供とは到底思えない。
誰もが、その幼い王にひれ伏し従う。
「早く始末しなければ………。陰人に未来はない。この戦いに終止符を打ってやる。両親の仇と共に___…………」
その目は強い恨みと復讐心で満ちていた。