【完】麗人、月の姫



そんなモヤっとした気分のまま、授業はどんどん終わって行く。


気がつけば給食の時間になっていた。 


「やっとご飯だね〜!」

「お腹空いたね」

牛乳係の私と紗綾は、給食室へと向かう。

私の学校は給食室という部屋があり、そこでクラスごとに食べることになっている。


係は月によってどのクラスがするのか決まっており、今月は私たちのクラスが担当なのだ。

それで、誰が何をするか話し合った結果、私と紗綾は牛乳を配り、食後回収する牛乳係になった。


「たくさんあるね………………」

「でも、2年生のだけだからそこまでじゃないよね」

「1年生は2組が担当になってる」

周りを見渡すと、1年の牛乳係が私たちの様に、お盆の上に牛乳を並べていた。


「早く並べてしまおうか」

「そうだね」

作業が遅れると給食の時間も下がるため、皆のイライラの原因になる。


たくさんある牛乳をテキパキと机に置いていき、やっと配り終わった私たち。

3年生はとっくに終わっており、各自席についてお喋りしていた。

しかし、隣の1年生はまだ終わっていない様子。

終わった学年は食べていいことになってるんだけど……………。


「ねぇ、貸して。手伝うよ」

「えっ?………いいんですか!?」

「うん。私の仕事終わったし、まだオカズ係が終わってないからその間ね」

手伝えば1年生も早く食べることが出来るし、争いの種にならなくてすむ。

「え!!美麗が手伝うなら私も手伝うよ!」

そんな私を見て、近くにいた紗綾も手伝ってくれたおかげで、無事に配り終わることが出来た。

「ありがとうございます!」

「いいのよ」

1年生は深々と頭を下げて、自分のクラスへと戻っていった。

「それにしても、なんで各自の教室じゃなくて、この給食室なんだろうね?しかも、クラス全員に配るとか時間かかるし」

「みんなで食べることによって仲を深めようという理念があるらしいよ?それと、連帯責任の気持ちを感じさせるためにさせているって、この間先生が言ってた」


「へぇ…………別にこんな事しなくても仲いいのにね」

紗綾は不服そうな顔をして、そう言った。


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