【完】麗人、月の姫



「……………まぁ、今はこの宴会を楽しみましょう!幸斗さん♪」


そんな雰囲気を変えるためにめいいっぱい笑顔を振りまく。


そしたら、ほら。


「……………そうですね」


幸斗さんも笑顔に戻るから。


……………………それにしても。


「やはり蓮さんは疲れてますよね?目の下にクマが………」


「………………あぁ、確かに。また頑張りすぎてるのか、蓮は。姫様よく分かりましたね」

「え、だって普通に具合悪そうじゃない?」

そんなに関心されるようなことなの?

「蓮は術で悟られないように隠しています。いつもそうなんです。どんなにキツくても周りに心配をかけたくないからと言って、溜め込もうとするんです………」


蓮さんは強い人だと勝手に思ってた。

だって、実際に強いし、人を率いる力があるから、この人は弱いとこなんてないって。

だけど、やはり強い人も弱さをもってる。


それを隠していたんだ。


「見破るなんてさすが我らの姫ですよ。普通の者だったら見抜けないです」



もしかしたら、私にしか出来ない事もあるのかな…………。


「蓮さんを休ませましょう。あのままだと倒れかねない」

「では、使用人に伝えましょう」

「…………いや、私にさせてくれないかな?」

最近、話していないし幸斗さんが言った言葉も気になる。


「分かりました。では、お任せします」

幸斗さんはそんなお願いに快く受け入れてくれた。


私は早速蓮さんのところへ近寄る。


「どうした?」

「蓮さん、部屋で休みましょう」

「は?」

「具合が悪いんでしょう?隠さないでください」


「…………幸斗のやつコイツに言ったのか……!!」

「いえ。私が判断しました」

「………………………ッチ」

スゴく蓮さん不機嫌だけど、まぁ具合悪いんだし、そのせいもあるよね。


「姫命令です。休みなさい」

こうゆうときにしか、命令って使えないよね(笑)

しかも、初命令を蓮に使うとか考えてもみなかった!


「そう言われたら休むしかなくなるだろ…………。はぁ、仕方ねぇな」

そう言ってダルそうに立ち上がる蓮さんだが、ふいによろめいた。

「私が支えていきます」

「1人で行ける」

「また今のようによろめいたらどうするんですか?危ないです」

私も結構言うようになったよね!

これも、修行の成果かな…………(笑)


「仕方ねぇな…………」

渋々だが、蓮さんは支えることを許可してくれた。


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