【完】麗人、月の姫



【side美麗】


朝起きると、周りが何だか騒がしかった。
 

特に兵士達が周りとたくさん囲み、厳重体制をとっている感じ。


「…………もし争いになったらアイツは違う場所に避難させて………そうだな……」


透真くんも城の幹部達と何やら顔をしかめて話している。


「透真くん」

「…………あ?お前か。どうした?」

「何かあったの?」

「…………………まぁ、姫のお前にはいずれ話は入るだろうし言っとくか。陰人の国から手紙が届いた。条件がのめなかったら恐らく戦争になるだろう」


陰人の国から……………。戦争は嫌だ。


「どんな条件?」

「この国を陰人の国の配下にすることだ。もちろん皆反対だ。配下になる、つまり月人の死だ。月の光をエネルギーに生きているのだから当然だ」


………………確かに。認めたら戦争は起きないかもしれない。でも、そしたら国の皆の生活が困る。


反対したら戦争…………………どちらにしても最悪には変わりない。


「お前もあまり国の外には出るな。前だって向こうが勝手に襲撃してきたらしい。いつ、戦争が起きても可笑しくない状況だ」

…………………ちょっと怖いな。

なんで、陰人はここまでこの国にこだわるの?

皆で仲良く暮せばいいだけの話じゃん。

争う必要なんてない。


どうにかして、話しあいで解決できないかな?


そしたら、争わなくて済むかも……………………。


「麗人は闇には耐えられるの?」

「絶えられるが、その分力は弱る。だから、あまり暗いとこは好まない」


絶えられるんなら、陰人の国にいって国王と話し合いはできそう……………。

問題なのはどうやって話をするか。


書類を送ったとして…………………見てくれるかな?

そこに行くまでに捨てられてたら嫌だなぁ。


「変なこと考えていないだろうな……?」

「…………………え?あ………えへ!」

「いや、えへじゃねーよ!」

「話し合いで解決できる問題じゃないのよね?」

「あぁ。出来るものならとっくにしてる」

陰人とは争わないといけない運命なの…………?


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