【完】麗人、月の姫



「姫様。麗国の姫君と使者が参られました」


ひと際立派で大きな扉の前で、足が止まった。


「…………………ほぉ。中へ」


艷やかな声が中から聞こえてくる。


「私達使い者は主の許可がない限り中へは入られませんので、姫君たちは中へどうぞお入りください」

「分かりました」


_______ギィ………………。


「よく来たな。歓迎するぞ」

中には綺麗な衣装にカールされた長い赤い髪の毛の、整った顔の女の人がソファーに腰かけて待っていた。


「ここに来ることを許可してくださりありがとうございます」

「お主のことは噂で聞いた。戦争で人間界に降りた姫の子孫らしいな」


そんな噂が回っているんだ…………………間違ってはいないけど。


「姫が幼い小娘だと聞いたものでな、一度会ってみたくなったのさ。噂通り……………………乳臭いのぉ(笑)」

ち………………乳臭い!!!???

牛乳飲んでないけど…………臭うのかな?


「姫……………たぶん今考えていることは違うと思われます…………」

え?違うの!?


「お主は面白いのぉ(笑)実に愉快じゃ。……………………ところで、ここに来たということは何か用事があるのではないのか?」


あ、そうだった!


「麗人と陰人の仲裁に入ってくれませんか?」

いきなり過ぎるかな?

でも、遠回しに言ったって伝わらなければ意味がないし。

「…………………ほぉ。確か争っていたな」

「その争いを終わりにしたいのです。なぜ、互いが憎み争わなければいけないのかが、分からないのです。出来るなら無駄な血は流したくないし、同じ月人通し仲良くしたいのです」


「わらわも二方の争いには飽き飽きしていたとこじゃ。つまらぬし、元は血を分けた兄弟。なぜ、仲良く出来ぬのかと疑問に思っとった」


思ったより話の分かる人っぽい!


「で、仲裁に入ればよいのか?」

「はい。具体的にお話をすると直接陰国の王様とお話する機会がほしいのです。しかし、話そうとしてもきっと拒まれてしまう。だから、その話し合いに参加して見守ってほしいのです」

陽人の姫がいるのなら、変なことは起きないと思うし話にも応じてくれるかも。

断られたら…………………………………話すチャンスがなくなる。

どうか………………………お願い………!!!!







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