【完】麗人、月の姫




「よく来たな」


その場所は半分真っ白。そして、もう片方は真っ黒という何だか変な空間だった。


「お主の席はこちらじゃ」

陽国の姫に席に案内される。


「陰国の王様は?」

「まだ来ておらぬ」


………………………来るよね?


「心配するな。大丈夫じゃ。わらわが言ったのじゃから、必ず来る。陽国を敵に回したくはないはずじゃから」


…………………確かに陽国と陰国は相性悪すぎるもんね………。



「今回は使用人の持ち込みを不可にした。だから、より深い話も出来るはずじゃ」

確かに使用人とかがおると、気になるしそっちの言葉に左右されてしまいそう。


「ありがとうございます」

つまり、会談には適した条件で話ができる訳。


「……………………揃ったようじゃな」

陽国の姫がそう言いながら見る視線の先には、暗闇ゾーンの席に腰を下ろした男の子がいた。


私より下…………………だよね?

恐らく小6ぐらいだ。


「お前が麗国の姫か?」

「………………あ、はい!」

「ガキじゃねーか」

…………………はぃ!?


貴方のほうがまだ子どもでは!??


なんて言ったら話は荒れるから言わないけど…………。


「この度は会談する機会をくださりお礼申し上げます」

とにかくまずは丁寧な礼儀で印象をよくしよう。


「…………ふん。ところでお前の要求はなんだ?俺を呼んだからには何かあるんだろ?」

態度がいちいち偉そうね………。


「………はい。歴史的に麗国と陰国は争ってきました。しかし、それを私達は終わらせたいのです」

「つまり、陰国を潰す気だと?」

何でそうなる…………。

「いえ。互いに平和に暮らしませんか?争いなんてもういりません。誰が偉いだなんて必要じゃない。私達も貴方がたと争うつもりなんてないし、理由もない」


「……………………理由がない、だと?」

「えぇ」


何でそんなに不機嫌なのかな?


「……………………………………お前ら麗国は父上を殺害したくせに、よくそんな事が言えるな!!!!!」


______ゾワッ………………。


ものすごく気迫………そして、恐怖。


これが陰国の王様の力……?


幼くても立派に王様だ。


というか、殺害って何のこと?

「あの日のことは忘れていない。見たわけではないが古くから使える者が言っておった。麗国が父上を殺害したとな!!」

………………そんなの知らない………何それ………。


「悪いのは全部お前らだ!!!!」


すごい恨みに満ちた目…………………。



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