【完】麗人、月の姫
だいぶ外の騒がしさはなくなった。
かたがついたのだろうか?
______ガラッ。
「蓮さん!」
中に入ってきたのはボロボロの蓮さん。
結構怪我をしている。
「大丈夫ですか?私が今治します」
修行で学んだ技をやっと使える。
姫として今役に立てる仕事はこれぐらいしかない。
「外の様子はどうですか?」
「……………………強い。だが、こちらが優勢だ。問題なく勝てるだろう」
よかった…………………。
「向こうもいきなり攻めてくるだなんて卑怯な奴らだ」
………………まぁ、約束の日になったら攻めてもいい約束だったけどね。
_____バサッ!
ん?あのときの鳥だ。
「きゅー」
「え?これを私に?」
「きゅー」
その鳥が持ってきたのは、何かの手紙だった。
「こんな時に使いをこさせるだなんて、そいつは偉く空気読めないやつだな」
連さんは少し不機嫌そうだ。まぁ、戦って疲れているのだから当たり前か。
「えっと、何なに?」
その手紙を開いてみる。
『この間、お前が言っていた話は本当であった。その件に対し謝罪する』
これって…………………陰国の王様だよね!!??
『こんな手紙をよこしたのに、今なぜ我らが争っているのか、不思議に思っているだろう?』
その通りです………………。
『平和な世の中。俺もそれがいいと考えた。今まで争ってきたが共存でき、何も思わない世界を俺は見てみたい。だが、俺には罪が多すぎる。周りの声に惑わされ、恨み続け、刺客をよこし殺そうともした。それだけの罪がある。だから、最低な王として幕を閉じさせてくれ。この戦争は恐らく麗人が勝つだろう。このままなら我らは同じ過ちを再び犯すだろう。だから、俺とともにこの国は、終わりとする』
………………………え!!!??そ、そんな!!!
つまり、負ける気でこの戦争を吹っかけたということ!?
『しかし、国民は行き続ける。新しい国に埋まり変わるのだ。短い間だが、済まなかった。そして、お世話になった』
最後にはそんな言葉が書かれていた。
まるで、もう会えないかのよう………………………まさか。
俺とともにこの国は終わりとするって、そうゆうこと!!?
_______ダッ!
「おい!!どこ行くんだよ!!!」
走り出した私の腕を咄嗟に掴む透真くん。
「行かなきゃいけないの!!」
「何がだよ!!お前、死ぬ気か!?」
「陰国の王様に会わないと!」
絶対死ぬ気だ。
「あっても話なんか聞いてくれねぇよ!」
「違う!話さないといけないの!!」
こんなこと言ったっていきなり過ぎて伝わらないとは思うけど。
「この手紙が本当なら、この戦争は勝つ。だけど、納得できない事があるの!!!」
幸斗さんなら印を書ける。
「………………あまり賛成はしません。ですが、姫のお望みとならば」
「お願いします」
「………………………分かりました」
お願いすると幸斗さんは渋々だが、印を書いてくれた。
「俺も行く」
「透真くん………」
「もしも、お前に何かあったらどうするんだ」
「………………………ありがとう」
私と透真くんは幸斗さんが書いた印の上にのり、光とともに陰国へと向かった。